俳優の星田英利(55)が8月15日夜、Xを更新し「国旗どころか、国家を損壊しているのは誰だ?」とだけ投稿した。13日に施行されたばかりの「国旗損壊罪」を念頭に置いたとみられる意味深な一言に、さまざまな声が寄せられている。
この投稿をきっかけに「国旗損壊罪とは具体的にどんな法律なのか」を調べる人が増えている。この記事では法律の中身と、施行後に広がる議論を整理する。元記事はこちら。
星田英利の投稿の内容
星田はこの日、「国旗どころか、国家を損壊しているのは誰だ?」とだけXに投稿した。具体的に誰を指しているのかは明言していないが、政治への皮肉と受け取る向きが多い。
この投稿に対しては「あの人の所属する政党を選択した多くの有権者」「国家損壊罪を作るしか」といった反応が寄せられており、法律の是非とは別に、政治全般への不満のはけ口として拡散している側面もある。
国旗損壊罪とはどんな法律か
正式名称は「国旗の損壊等の処罰に関する法律」で、2026年8月13日に施行された。「人に著しく不快、嫌悪の情を催させる方法」で公然と国旗を損壊、除去、汚損した場合、2年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金が科される。
対象となるのは日本国旗に限らず、外国の国旗も含まれる点が特徴だ。国旗を大切にする国民感情を保護することが、法律の目的として掲げられている。
法律が作られた経緯
国旗損壊罪の創設は、高市早苗首相が首相就任前から提唱してきた政策の一つだった。2025年10月の自民党と日本維新の会による連立政権合意書にも、この法律の制定が盛り込まれていた。
先の特別国会では、自民、維新、国民民主、参政の4党が共同で法案を提出し、2026年7月17日に成立した。与党だけでなく複数の野党も賛成に回ったことで、比較的スムーズに成立に至った経緯がある。
なぜ反対の声があるのか
国会審議では、憲法が保障する「表現の自由」を侵害するのではないかという懸念が繰り返し指摘された。政治的な主張や抗議活動の一環として国旗を扱う行為まで処罰対象になりかねないという不安の声だ。
日本共産党の機関紙は、処罰対象の線引きが曖昧で、表現行為そのものを萎縮させかねないと批判している。同様の懸念は他の野党やメディアからも上がっていた。
「著しく不快、嫌悪の情」の曖昧さ
条文にある「人に著しく不快、嫌悪の情を催させる方法」という要件は、具体的にどのような行為が該当するのか、解釈の幅が大きいと指摘されている。日本経済新聞も「処罰対象の線引きが課題」と報じており、専門家の間でも見解が割れている。
単に国旗を汚したり傷つけたりする行為すべてが対象になるわけではなく、その方法や状況によって判断が分かれる点は、施行後も引き続き議論の的になりそうだ。
警察庁の慎重な運用方針
こうした曖昧さを踏まえ、警察庁は立件の可否を慎重に検討し、組織的に判断するよう各都道府県警に通達を出している。現場の判断だけで安易に立件されることのないよう、一定の歯止めをかける狙いがあるとみられる。
この通達自体が、法律の運用に対する懸念の大きさを物語っているともいえる。実際にどのようなケースで適用されるのか、今後の運用実績が注目される。
海外の国旗損壊罪との比較
国旗の損壊を処罰する法律は、日本に限った制度ではない。多くの国で自国の国旗を保護する規定が設けられており、罰則の重さや適用範囲は国によって異なる。
一方でアメリカのように、国旗の焼却を含む表現行為が憲法上の「表現の自由」として保護されると司法判断が下された国もある。国旗という象徴をどう扱うかは、各国の歴史や価値観によって対応が分かれるテーマだ。
日本の国旗を巡るこれまでの議論
日本で「日の丸」が法律上正式に国旗として定められたのは、1999年の国旗国歌法によってだ。それ以前は慣習として国旗として扱われてきたが、法的根拠はなかった。国旗国歌法の制定時にも、学校現場での掲揚・斉唱の義務化を巡って国会で激しい議論が交わされた経緯がある。
今回の国旗損壊罪は、その延長線上にある議論とも言える。国旗を「守るべき対象」として法律で明確に位置づける動きが、四半世紀を経て新たな段階に進んだ格好だ。
アメリカの国旗焼却を巡る司法判断
海外の事例として、アメリカでは1989年の連邦最高裁判決で、抗議活動としての国旗焼却が憲法修正第1条の「表現の自由」によって保護されるとの判断が示された。この判決は今なお、国旗保護と表現の自由のバランスを議論する際の代表的な先例として引用される。
アメリカでは判決後も国旗保護法を制定しようとする動きが議会でたびたび起きているが、最終的な法改正には至っていない。日本の国旗損壊罪も、こうした国際的な議論の蓄積と無関係ではない。
政治的抗議活動への影響の懸念
国旗損壊罪を巡る最大の懸念は、政治的な抗議活動やパフォーマンスとしての国旗の扱いが、どこまで処罰対象になるかという点だ。デモや集会で国旗を用いた表現行為が萎縮するのではないかという不安は、法案審議の段階から指摘され続けてきた。
一方で、法律の目的が「国民感情の保護」にある以上、悪質な侮辱行為を放置すべきではないという意見も根強い。表現の自由と国旗への敬意、どちらを重視するかという価値観の違いが、賛否の分かれ目になっている。
星田英利とは何者か
星田英利は、かつて「ほっしゃん。」という芸名でお笑い芸人として活動し、独特のキャラクターで人気を集めた人物だ。その後、俳優として活動の幅を広げ、現在は本名の星田英利名義でドラマや映画にも出演している。
時事問題への発言もたびたび話題になっており、今回の投稿もそうした発信の一つとして受け止められている。
SNSでの反応の広がり
星田の投稿は、法律そのものへの賛否とは別に、政治に対する漠然とした不満を代弁する言葉として拡散した面がある。具体的な批判対象を明示しない投稿だからこそ、さまざまな立場の人が自分なりの解釈で受け止めている状況だ。
国旗損壊罪という新しい法律の是非を巡る議論は、今後も著名人の発言をきっかけに繰り返し話題になる可能性がある。
今後の運用を巡る焦点
施行されたばかりの国旗損壊罪は、実際の運用実績がまだ乏しく、どのようなケースで適用されるのかが今後の焦点になる。表現の自由との兼ね合いをどう調整していくか、司法判断の蓄積が待たれる段階だ。
星田の投稿のように、法律そのものへの直接的な言及を避けつつ皮肉を込める表現が広がっていることも、この法律を巡る社会の緊張感を映し出しているといえそうだ。
施行からまだ日が浅いだけに、実際の摘発事例が出てくるかどうかも含め、しばらくは法律の運用実態そのものがニュースとして取り上げられ続けることになりそうだ。


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