「殺」「刺」など過激な表現を含む野球用語の使用を見直すため、宮城県高等学校野球連盟(県高野連)が今秋にも検討委員会を設置することが9日、明らかになった。
見直しの対象となる用語
検討対象となるのは「殺」「刺」「死」「盗」「犠」などの文字が含まれる用語で、代替となる言葉を検討したうえで、来春に各校の指導者へ結果を伝える予定だという。検討の結果次第では、県高野連が主催する大会の公式記録の表現も改める方針だ。
具体的にどんな用語が対象になるのか
野球には、こうした漢字を使った専門用語が数多くある。
たとえば守備側の選手が走者をアウトにした際に記録される「補殺」や「刺殺」、走者を刺そうとする際の送球を指す「刺す」、盗塁を試みて失敗した際の「盗塁死」、チームのために自分の打席を犠牲にするバントやフライを意味する「犠打」「犠飛」などが代表例だ。
いずれも野球界で長く使われてきた記録用語や指導用語だが、字面だけを見ると物騒な印象を与えかねない、という指摘が今回の見直しの背景にあるとみられる。
検討委員会の体制と狙い
検討委員会は、県高野連の松本嘉次理事長ら約10人で構成される見通し。取材に応じた松本氏は「教育現場にふさわしい言葉に変えていけたら」と話しており、高校生への指導現場でこうした言葉が使われなくなることを目指すとしている。
指導現場での言葉遣いを巡る議論
高校野球の指導現場では近年、指導者による威圧的な言動や体罰的な指導が問題視され、選手の主体性を尊重する指導法への転換が全国的に進められてきた経緯がある。用語そのものを見直す今回の動きも、こうした流れの延長線上にあるとみられる。
一方で、「殺す」「刺す」といった言葉は、あくまで守備や走塁の動作を指す専門用語として定着しており、実際の指導現場でどこまで違和感なく代替表現に置き換えられるかは未知数だ。
長年その用語に慣れ親しんできた指導者やOBからは、伝統的な表現を残すべきだという声が上がる可能性もある。
他県への広がりと言葉遣いを巡る議論
野球用語には、もともと英語の直訳や独特の言い回しに由来するものが多く、専門用語としての側面と、日常語として見たときの過激さとの間にギャップがあると指摘されることがある。今回のような見直しが他の都道府県にも広がるのか、また実際にどのような代替表現が採用されるのかに関心が集まりそうだ。
言葉遣いを巡る見直しは野球に限った話ではない。学校教育の現場では近年、体罰的な指導や威圧的な声かけそのものを見直す動きが各地で進んでおり、今回の用語見直しもそうした流れの一環として受け止められている面がある。
一方で、長年使われてきた専門用語には競技特有の緊張感やリズムを支えてきた側面もあり、変更によって指導や実況の伝わりやすさがどう変わるのか、現場の反応にも注目が集まりそうだ。
今回の宮城県の取り組みが実際に導入された場合、テレビやラジオの実況・解説、新聞のスポーツ面の見出しなど、報道の現場にも一定の影響が及ぶ可能性がある。
長年親しまれてきた表現が変わることへの戸惑いと、教育的な配慮を優先すべきだという意見との間で、どのような着地点が探られるのか、来春の結果公表が注目される。
全国の高野連や中学・小学生年代の野球連盟が今回の動きをどう受け止めるかによって、この見直しが宮城県内にとどまるか、全国的な流れになるかが決まりそうだ。日本高校野球連盟をはじめとする上部組織の反応も、今後の議論の広がり方を左右する要素になるとみられる。


コメント