原油反発、米イラン戦闘激化が懸念される理由

原油反発、米イラン戦闘激化が懸念される理由 国際

7月17日の原油先物が反発した。米国とイランが全面戦争に戻るリスクが意識され、ホルムズ海峡経由の原油供給が脅かされるとの懸念が強まったためだ。

ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物8月限は3.54ドル(4.5%)上げて82.49ドルで終了。北海ブレント先物9月限は前日比3.87ドル(4.6%)高の1バレル=88.10ドルで引けた。週間ではいずれも15%を超える値上がりとなり、ブレントは4月以来の大幅高となった。

米国のイスラエル支援報道が引き金に

ニュースサイトのアクシオスは、米国がイスラエルに数十機の空中給油機を派遣していると報道した。

これを受け、目先に戦闘が激化するとの見方が強まり、原油相場はこの日の高値をつけた。米国は防衛施設などを標的とする新たな空爆を実施する一方、イランは報復としてクウェートの淡水化施設や発電所を標的とするなど、両国による攻撃の応酬が続いている。

ホルムズ海峡を巡る緊張再燃

ホルムズ海峡を巡る懸念再燃で、原油相場は足元、約1カ月ぶりの高値圏まで戻している。4~6月(第2四半期)には約30%の下げを記録していただけに、今回の反発は市場の緊張感の高まりを反映した動きと言える。

イランは湾岸諸国への攻撃に加え、ホルムズ海峡を通航する船舶への攻撃も継続しており、同海峡を航行する全ての船舶はイランの許可を得る必要があると主張している。緊張の高まりを受け、海運各社は警戒を強めており、同海峡の通航量は過去10日間に大きく落ち込んだ。

燃料油市場への波及

戦争はディーゼル油やガソリンなど燃料油の供給にも影響を及ぼしており、米石油会社の精製マージンは過去最高水準に達している。

背景には、ロシアがウクライナによる国内製油所への攻撃を受けてディーゼル油の輸出を禁止したことがある。さらに米上院議会では、ロシアに対する経済圧力を強めるため、ロシア産原油の購入国に制裁を科す法案の可決を目指す動きも出ている。

専門家が指摘する需給ひっ迫

カタリスト・エナジー・インフラストラクチャー・ファンドのポートフォリオマネジャー、サイモン・ラック氏は、「原油よりも石油製品の方が供給ひっ迫が深刻だ。在庫の取り崩しが進み、需給の余力はほとんど残っていないとエネルギー企業の幹部が警鐘を鳴らしていた中で、平穏な時期は長く続かなかった」と述べている。

複数の要因が重なり合う形で市場の緊張が高まっている状況だ。

今後の見通し

米イラン間の軍事的緊張が今後どう推移するかによって、原油価格はさらに大きく変動する可能性がある。

日本国内でもガソリン価格などへの波及が懸念されており、エネルギー安全保障の観点からも今後の情勢を注視する必要がありそうだ。

日本経済への影響

原油の多くを中東からの輸入に頼る日本にとって、ホルムズ海峡情勢の緊迫化は看過できないリスク要因だ。

物価高が続く中でのさらなる燃料価格上昇は、家計や企業活動に追加的な負担をもたらしかねない。政府としても、エネルギー調達の多角化や備蓄の活用など、対応策の検討が急がれる局面と言えそうだ。

今後の相場見通し

米イラン間の軍事的緊張が長期化するのか、それとも外交的な収束に向かうのかによって、原油価格の方向性は大きく変わってくる。

市場関係者の間では、当面はホルムズ海峡情勢を注視しながらの神経質な取引が続くとの見方が広がっている。原油相場の乱高下が長引けば、世界経済全体への影響も無視できなくなりそうだ。各国の外交努力によって事態が沈静化に向かうかどうか、引き続き情勢を注視する必要がある。

元記事はこちら: 原油反発、米イラン戦闘激化を懸念(Yahoo!ニュース)

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