中国外務省は7月12日、北京の日本大使館の横地晃次席公使を呼び出し、抗議したと発表した。
南シナ海における中国の領有権主張を退けた仲裁裁判所の判断から10年となるのに合わせ、日本やアメリカなどが共同声明を発表したことが背景にある。
中国側の主張
中国外務省アジア局の責任者は、横地次席公使に対し強い不満と抗議の意思を表明したという。
「南シナ海問題における日本の歴史的な罪は清算されておらず、悪辣な言動は国際社会の警戒と憤りを引き起こす」と日本を批判し、「中国は日本の挑発に断固として強く反撃し、領土主権と海洋権益を断固として守る」と強調した。
日本側の反論
日本大使館によると、中国側の主張に対し横地次席は日本の立場を説明し反論したという。
また、中国による輸出管理措置などについて日本の立場を伝え、適切な対応を強く求めたとされる。
そもそも仲裁裁判所の判断とは
今回の背景にある仲裁裁判所の判断は、南シナ海における中国の広範な領有権主張について、国際法上の根拠がないとした2016年の裁定を指す。
フィリピンが申し立てたこの裁定で、中国が主張してきた「九段線」に基づく権利には国際法上の根拠がないと結論づけられた。しかし中国はこの判断を受け入れず、その後も南シナ海での実効支配を強めてきた経緯がある。人工島の造成や軍事拠点化を進めてきたとされ、周辺国との緊張が続いている海域だ。
10年の節目に発表された共同声明
今回、この裁定から10年となる節目に合わせ、日本やアメリカなどが共同声明を発表した。
南シナ海における航行の自由や国際法に基づく秩序の重要性を改めて確認する内容だったとみられ、これに対して中国が強く反発した形だ。
今後の日中関係への影響
南シナ海問題は、日本が直接の当事国ではないものの、シーレーンの安全確保という観点から日本にとっても重要な関心事項だ。
今回のような外交上の応酬が、実際の日中関係にどこまで影響を及ぼすのか、今後の両国の対応が注目される。
日本を含む関係国が共同声明という形で足並みをそろえたことは、南シナ海問題を巡る国際的な連携の一つの表れとも受け取れる。
フィリピンをはじめとする周辺国にとっては、こうした国際的な後押しが自国の立場を強化する材料になる一方、中国との緊張がさらに高まるリスクもはらんでいる。
日本にとっても、シーレーンの安全確保という経済安全保障上の利益と、対中関係の安定という外交上の利益をどう両立させるか、難しいかじ取りが求められる局面が続きそうだ。
経済的な結びつきが強い日中両国だけに、南シナ海問題のような安全保障上の対立が、貿易や投資などの分野にどこまで波及するのかも懸念材料の一つだ。今後も外交当局間のやり取りが続くとみられ、その推移を注視する必要がある。
10年前の裁定が今なお外交上の火種であり続けていることは、国際法上の判断と実際の国家間の力関係とのギャップを浮き彫りにしている。今後この溝がどう埋まっていくのか、長期的な視点での注視が欠かせない。
国際法上の判断を尊重する国際秩序を維持できるかどうかは、南シナ海に限らず、世界各地の領土問題にも影響を及ぼしうる重要な前例になる。今回の共同声明が単なる象徴的な意思表示にとどまらず、実際の行動につながっていくのかどうかも見守りたい。
今後の中国側の出方次第では、さらなる外交上の応酬に発展する可能性もあり、両国関係の推移を引き続き注視する必要がある。周辺海域を航行する船舶や航空機の安全確保という実務的な課題にも、影響が及ぶ可能性がある。
元記事はこちら: 中国が日本大使館幹部呼び出し(Yahoo!ニュース)


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