退職代行の次は「休職代行」 利用実態とは

退職代行の次は「休職代行」 利用実態とは 社会

切り出しづらい退職の意向を勤務先に伝えてくれる「退職代行」が浸透する中、今度は休職の申し出を代理で伝える「休職代行」が広がりを見せている。

若者だけでなく、ストレスに直面する中間管理職からの依頼も少なくないという。

相談が急増する現場

約10年前から休職代行を請け負っている弁護士法人代表の清水隆久弁護士のもとには、精神的に追い込まれた依頼者からの問い合わせが次々と舞い込む。

主な業務は、本人に代わって職場に休職の意向を伝え、医師の診断書の提出など休職に向けた手続きを行うことだ。依頼は今春から倍増し、月に40件近くの案件を抱えるようになったという。

幅広い利用者層

利用者は若手会社員に限らず、40〜50代の中間管理職まで幅広い。

20代は転職を考えているものの退職へのリスクを感じて休職を選ぶケースが多く、40代以上は責任の重い業務に加えて家族の介護も重なるといった事情が目立つという。清水弁護士は「出社できる状態にない場合も多く、職場との交渉でよりメンタルが悪化する恐れもある」と話す。

目立つ公務員の利用

清水弁護士によると、依頼者には教職員や自衛官といった公務員も含まれるという。

厳しい人間関係や多忙な業務が背景にあるとみられ、「公務員は休職とは別に最大90日間の病気休暇もあったり制度が手厚い」と説明する。代行を利用すると復職後に気まずいとの声もある一方、「大半は復職を機に異動ができる」といい、公務員は退職より休職を選ぶ傾向があるとみている。

退職代行との違い

似たサービスに見える退職代行と休職代行だが、手続きの煩雑さは大きく異なる。

退職の場合、労働者からその意思を伝えられれば、企業側は民法に基づき14日以内に受理しなければならない。基本的に労働者からの「一方通行の通達」で完結する。これに対し休職制度を巡る法的なルールは存在せず、企業それぞれが就業規則を基に独自に対応を設けているのが実情で、条件や期間も企業によって異なる。

利用にあたっての注意点

大手退職代行サービスによる弁護士法違反事件も記憶に新しく、代行サービスの利用にあたっては慎重な見極めが必要とされる。

資格を持つ弁護士が対応しているかどうかなど、労働者側もより注意を払う必要があると言えそうだ。休職という選択肢が広く知られるようになったこと自体は、追い詰められた労働者にとって一つの助けになる可能性もある。

「どうしても言えない」という切実な声の背景には、職場での人間関係の悪化を恐れる気持ちや、責任感の強さゆえに自分から言い出せないという心理があるとみられる。代行サービスの需要が増えていること自体、日本の職場環境が抱える構造的な課題を映し出しているとも言えそうだ。

今後、休職代行というサービスがどこまで社会に定着していくのか、また企業側がこうした申し出にどう向き合っていくのかも注目される。

企業側にとっても、従業員が代行サービスを頼らざるを得ない状況になる前に、社内の相談窓口や休職制度の運用を見直す必要性が高まっていると言えそうだ。働き手を守る仕組みづくりが、結果的に組織全体の持続可能性にもつながっていくだろう。今後の職場のメンタルヘルス対策のあり方にも一石を投じる動きと言えそうだ。制度の利用が広がるにつれ、企業側の意識改革がどこまで進むのかも継続的に見ていきたいテーマだ。清水弁護士のような専門家への相談件数の推移も、社会の働き方のひずみを映す一つの指標になりそうだ。心身の健康を守りながら働き続けられる環境づくりへの関心は、今後さらに高まっていくとみられる。

元記事はこちら: 退職の次は〝休職代行〟にSOS(Yahoo!ニュース)

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