皇室典範改正案の「隠れ条項」とは 批判相次ぐ

皇室典範改正案の「隠れ条項」とは 批判相次ぐ 政治

皇族数の確保に向けた皇室典範改正案が7月10日、衆議院本会議で可決され、参議院に送られた。

今国会での成立が有力視される一方、この改正案には批判や疑問の声も相次いでいる。

そもそもの議論の出発点

改正論議の発端は、女性皇族が結婚すると皇籍を離脱するために皇族数が年々減っているという課題だった。

これを受け、政府の有識者会議は(1)女性皇族が結婚後も皇族に残ること、(2)旧11宮家の男系男子を養子として皇族に迎えること、の2案を示していた。

2024年からの各党協議では、この2案は「立法府の総意」として概ね了承された一方、女性天皇や女系天皇そのものの是非は「今後の検討課題」として先送りされていた。

今回新たに盛り込まれた規定

ところが今回の改正案では、これまでの整理にはなかった規定が加えられていた。

旧宮家の男系男子は養子になっても本人には皇位継承資格が認められない一方、その養子に男系の子が生まれれば、その子には皇位継承資格が与えられるという内容だ。

この点は「立法府の総意」として整理されてきた内容には明記されておらず、実質的に皇位継承制度そのものを変更する重要な内容ではないかとの批判が上がっている。政府は「将来の議論を縛る趣旨ではない」と説明しているという。

SNSで相次いだ批判

採決前日の9日には、政治家や有識者からXへの投稿が相次いだ。

立憲民主党の蓮舫氏は「わずか3時間の審議で皇室典範を改正し」「禍根を残す」と投稿し、大きな反響を呼んだ。共産党の志位和夫氏も「まともな説明もないまま、たった3時間で通すとは」と批判している。

実業家のひろゆき氏も、女性天皇に元々前向きだった国民民主党の玉木雄一郎代表が今回の案に賛成したことを皮肉交じりに指摘していた。

天皇陛下のお言葉と世論調査

今回の議論を巡っては、天皇陛下が6月の外国訪問前の会見で「国民の皆さんの理解が得られるものとなることを望んでおります」と述べられたことも改めて注目されている。

新聞各紙の世論調査では、女性天皇を認めることへの賛成が7割を超える一方、旧宮家男系男子の養子制度については7割超が「急ぐ必要はない」と回答しているとされ、制度設計と国民意識との間に隔たりがあることもうかがえる。

参議院審議の行方

改正案は今後、参議院で審議される。仮に否決されても、衆院で再可決されれば成立する可能性が残る。

皇室制度という国家の根幹に関わる法案だけに、今回明らかになった規定を巡る議論が、参院審議でどこまで深められるのかが焦点になりそうだ。

「立法府の総意」という言葉の重み

今回の批判の多くは、内容そのものへの賛否以前に、手続きの進め方に向けられている。

与野党が時間をかけて積み上げてきたはずの「立法府の総意」と、実際に提出された条文との間にずれが生じたことが、信頼を揺るがす要因になったといえそうだ。

皇室という国民全体に関わるテーマだからこそ、手続きの透明性そのものが問われている局面ともいえる。

参議院での審議では、政府がこの点についてどこまで丁寧な説明を尽くせるかが、法案への理解を広げられるかどうかを左右しそうだ。

皇位継承という制度の根幹に関わるテーマだけに、拙速な採決への懸念は与野党を超えて共有されうる論点でもある。参院でどこまで議論が深められるか、引き続き見守りたい。今回の一件は、法案の是非にとどまらず、国会審議のあり方そのものに一石を投じたともいえそうだ。皇室という国民統合の象徴に関わる話題だけに、幅広い世代がこの議論の行方を見守っている。

元記事はこちら: 「愛子天皇を不可能とする」皇室典範改正案が成立目前(Yahoo!ニュース)

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