人気配信者と原宿クレープ店のトラブルが波紋
YouTubeやTwitchで活動する配信者「がーどまん」が8月10日に公開した、東京・原宿の人気クレープ店を訪れる動画が波紋を呼んでいる。ファンの少年たちにクレープを奢ろうとしていた場面で、撮影を巡り店員から強く注意される様子が収められていた。
店員が「店の前でやるのやめてもらっていいですか」と注意すると、がーどまんは購入の意思を伝えたが、店員は「買わないでください」と対応。これを受け、がーどまんは「キッショ、この店」「路地裏に出せよ」などと不満をあらわにする発言をした。動画終盤には「ツイッチにて大暴れ中」というテロップもあり、生配信中の出来事だった可能性も指摘されている。
撮影を注意され悪態、動画は削除に
動画には店員や他の客、通行人の顔にモザイク処理がされていなかったことに加え、店先で声を荒げる様子が映っていたことから、SNS上では「立派な営業妨害」といった批判が相次いだ。
店舗には無断撮影を禁じる掲示があったとみられ、あるWEBメディア記者は「がーどまんさんたちが撮影許可を得ずにカメラを回していたとすれば、店側が怒るのも無理はない」と分析している。動画は11日夕方までに削除された。
「営業妨害」とはどんな行為を指すのか
今回の一件で注目されたのが「営業妨害」という言葉だ。刑法上は「業務妨害罪」として規定されており、大きく「威力業務妨害罪」(刑法234条)と「偽計業務妨害罪」(同233条)の2種類に分けられる。
威力業務妨害罪は、暴力や脅迫的な言動など「威力」を用いて業務を妨害した場合に成立する。一方の偽計業務妨害罪は、虚偽の風説を流布したり、人をあざむいたりする「偽計」を用いて業務を妨害した場合に成立する。被害者に直接的なプレッシャーをかけるのが威力業務妨害、それ以外の手段で妨害するのが偽計業務妨害と整理される。
威力業務妨害罪が成立する具体的なケース
過去の事例では、執拗に迷惑電話をかけたり、店頭で長時間にわたってクレームをつけ続けたりして従業員の正常な業務を妨害した行為が、威力業務妨害罪にあたるとされたケースがある。官公庁に犯罪予告のメールを送り、警備や来庁者の避難対応を強いたケースも同様だ。
SNS関連では、アルバイト先の店内で悪ふざけする様子を撮影し拡散させる、いわゆる「バイトテロ」動画も、店舗に対する偽計業務妨害罪が成立し得るとされる。今回のように、店の前で大声で不満をぶちまける行為も、状況次第では威力業務妨害の疑いをかけられる可能性がある。
無断撮影は法的に問題にならないのか
撮影禁止の掲示がある店舗内・店頭で無断で撮影を続けた場合、施設管理権の侵害として問題になり得るとされる。今回のケースでは、事前の撮影許可を得ていなかった可能性が指摘されており、店側の対応にも一定の理由があったとみる声も出ている。
一方で「店側の言い方にも問題があるのでは」という指摘も一部で見られ、双方の対応のどちらに非があったのかは、公開された1分程度の動画だけでは判断しきれない部分も残る。
業務妨害罪の罰則、両罪とも同じ水準
威力業務妨害罪・偽計業務妨害罪はいずれも法定刑が3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金と定められている。実際に立件されるかどうかは、被害の程度や悪質性、故意の有無などを踏まえて個別に判断されるとみられる。
配信者に求められる撮影マナー
過激な企画で注目を集めてきたがーどまんだが、今回は配信者としての撮影マナーそのものが問われる結果となった。街中や店舗での撮影が日常的に行われる時代だからこそ、周囲への配慮と法的なリスクの両面が改めて意識される出来事といえそうだ。
配信者やインフルエンサーの活動が一般化する中、撮影対象となる店舗や通行人の権利をどう守るかは、業界全体で向き合うべき課題として残り続けそうだ。
過去にも相次いだ配信者と店舗のトラブル
飲食店や小売店を訪れる様子を撮影する「街ロケ系」の配信は近年人気コンテンツの一つになっており、店舗側とのトラブルもたびたび話題になってきた。無断での商品撮影や、長時間の滞在による他の客への迷惑行為などが問題視されるケースは今回に限らない。
一方で、こうしたコンテンツが結果的に店舗の宣伝になっているケースも多く、配信者と店舗の関係は一様に対立的なものではない点にも留意が必要だ。今回のように許可の有無を巡ってボタンの掛け違いが起きると、双方にとって望ましくない形で炎上に発展しやすい。
企業側が講じておきたい対策
店舗側としては、撮影禁止の方針をより目立つ形で掲示したり、SNSでの発信が多い客層に向けてルールを事前に周知したりすることが、トラブル予防につながるとされる。今回のケースでも赤い掲示があったとされるが、混雑時や来店直後には気づかれにくいという課題も残る。
逆に配信者側も、飲食店や小売店を訪れる際には事前に撮影許可を取る、店舗の意向を確認してから配信を始めるといった基本的な配慮が、自身の活動を守ることにもつながる。
「がーどまん」とはどんな配信者か
がーどまんは、YouTubeやTwitchを拠点に活動する人気配信者で、体を張ったドッキリ企画やリアクション動画などで若い世代を中心に支持を集めてきた。今回のようにファンとの直接的な交流を配信の題材にすることも多く、街中での撮影を伴う企画は活動の柱の一つになっている。
過激な演出やハプニング性の高さが持ち味とされる一方、今回のように第三者を巻き込むトラブルが起きた際には、企画の面白さと周囲への配慮のバランスがより厳しく問われることになる。
今回の一件を受け、今後同様の街ロケ企画をどのような形で継続していくのか、配信者本人の対応にも注目が集まっている。
SNS時代の「炎上」が持つリスク
今回のように、当事者の発言や振る舞いがそのまま切り取られ拡散される現代のSNS環境では、当初は些細なやり取りだったはずのものが、瞬く間に大きな炎上に発展しやすい。動画には店員や通行人の顔が加工なしで映り込んでいたことも問題視されており、当事者以外の第三者が意図せず巻き込まれてしまう点も見過ごせない論点だ。
顔が特定できる形で映り込んだ一般人については、本人の同意なく公開された場合、肖像権やプライバシー権の侵害が問題になる可能性もある。企画性の高い動画であっても、映り込む人物への配慮は撮影・編集段階で欠かせない要素になっている。
視聴者側にとっても、切り取られた一部分だけを見て一方的に断罪するのではなく、当事者双方の言い分や背景を踏まえたうえで冷静に受け止める姿勢が、健全なネット空間を保つうえで求められているといえそうだ。
店舗側が受けた実害はどの程度か
今回のトラブルによって、クレープ店側がどの程度の営業上の実害を受けたのかは明らかになっていない。ただし、動画の拡散によって店舗名や場所が広く知られることになり、来店客の増減や口コミへの影響など、何らかの形で経営に波及した可能性は否定できない。
SNSでの炎上は、当事者の意図とは無関係に店舗の評判そのものを左右しかねない点で、実際の法的な「営業妨害」の成否とは別に、現実的なダメージを伴うことがある。今回のケースがどのような形で決着するのか、双方の今後の対応が注目される。


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