改正皇室典範に相次ぐ批判 「白紙撤回」「横暴」の声

改正皇室典範に相次ぐ批判 「白紙撤回」「横暴」の声 政治

7月17日に参院本会議で可決・成立した改正皇室典範に対し、成立からわずか1日で複数方面から批判の声が上がっている。

旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎えることを可能にする内容で、養子のもとに生まれた男子は皇位継承資格を持つことになる。この養子の子への継承資格付与は、衆参両院の正副議長がまとめた「立法府の総意」にはなかった内容だとして、批判が集まっている。

共産党・田村委員長「白紙撤回求める」

共産党の田村智子委員長は7月18日、党本部で記者団の取材に応じ、改正皇室典範について「男系男子に固執し、ジェンダー平等という日本社会に悪い影響を与える」との見方を示し、「私たちは今から白紙撤回を求めていく」と述べた。

田村氏は「明治憲法での現人神の神話に基づく議論が、なぜ今日の国会で行われなければならないのか」と疑問を呈し、日本書紀に記された神武天皇の即位から2600年を超える皇統についても「2600年? それって神話でしょ」と述べている。「人間の平等を考えたとき、世襲制の形で天皇を続けていくことは、人間の平等や基本的人権が全ての人に保障されることとも齟齬をきたす」との認識も示した。

皇室研究の第一人者「横暴」と批判

一方、昭和史研究家で皇室研究の第一人者として知られる保阪正康氏も、月刊「文藝春秋」8月号に緊急寄稿し、今回の改正を厳しく批判している。

保阪氏は男系養子について「国民の多くが支持する、直系である愛子内親王への継承の可能性をあらかじめ閉ざすことを意味する」と指摘し、「天皇の地位は『国民の総意に基く』と記す憲法から乖離しているのだ」と述べた。改正の進め方についても、「天皇をはじめとする皇族の暮らしを左右する法改正であるのに、彼ら自身の意見にまともに耳を傾けることなく法案化が進められている」と問題視している。

「一時的な政治権力による横暴」

保阪氏はさらに踏み込み、「今般の皇室典範改正は、天皇と象徴天皇制への歴史的な理解に裏打ちされているようには思えず、一時的に多数を誇る政治権力が象徴天皇制を改変しようとする横暴であるようにすら見えてくる」と綴っている。

平成の天皇と皇后と3年にわたり懇談を重ねた経験を持つ保阪氏の指摘だけに、皇室関係者の間でも重く受け止められているとみられる。

採決結果と反対会派の広がり

皇室典範改正案の参院採決を巡っては、立憲民主党など反対した野党会派は5会派に上ったが、衆参両院の議員数に占める反対者は1割に満たなかった。

数の上では圧倒的多数での成立となった一方、内容面での異論は与野党を超えて根強く残っていることが、今回の一連の批判からうかがえる。

今後の火種

法律が成立した以上、実際の制度運用が始まることになるが、共産党が明言した「白紙撤回」を求める動きや、専門家からの批判がどこまで政治的な影響力を持つかは不透明だ。

養子の子への皇位継承資格付与という、これまでの議論の枠を超えた内容だけに、今後も折に触れてこの問題が蒸し返される可能性がある。

世論との温度差

女性天皇・女系天皇を容認する意見が世論調査では多数を占める傾向が続く中、今回の改正はその流れとは異なる方向に進んだ形だ。

与野党の議席数では圧倒的多数で成立した一方、国民世論との間にある温度差がどう埋まっていくのか、今後も注視されるテーマになりそうだ。

今後想定される展開

共産党が明言した「白紙撤回」の要求が、実際にどこまで政治的な動きにつながるかは未知数だ。

一方で、保阪氏のような専門家からの批判が、世論形成に一定の影響を与える可能性もある。成立した法律とはいえ、今後の運用や再改正を巡る議論が完全に収束したわけではなさそうだ。

元記事はこちら: 共産・田村氏、改正皇室典範に「白紙撤回求める」(Yahoo!ニュース)

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