愛犬の「甘噛み」や「噛み癖」、
最初は「子犬だから仕方ないかな」と思っていても、
そのまま成犬になってしまうと、ケガやトラブルにつながる危険な行動になります。
この記事では、愛犬が噛む本当の理由と、
今日からできるやさしくて効果的なやめさせ方を、できるだけ具体的にまとめました。
叱りつける前に、一度落ち着いてチェックしてみてください。
1. 噛み癖・甘噛みを「放っておく」と何が危険?
1-1. ちょっとした甘噛みでも、成犬になると大問題に
子犬のうちは歯も小さく、じゃれて噛まれても「痛いけどまぁいいか」で済みがちです。
しかし、そのまま成長すると…
- 本気じゃなくても大人の力で噛まれると流血する
- 子どもや高齢者の肌は特に傷つきやすい
- 他人を噛んだ場合、トラブルや賠償問題に発展することも
「うちの子は噛むけど、本気じゃないから大丈夫」と放置してしまうと、
犬も飼い主も、そして周りの人も守れなくなってしまいます。
1-2. 犬の心にも負担がかかる
噛み癖があるということは、何かしらストレスや不安、欲求不満を抱えている可能性も高いです。
それを放置すると、
- イライラしやすくなる
- 興奮状態が続き、よく眠れない
- さらに問題行動が増える(吠え・破壊行動など)
噛み癖の改善は、犬の心と体を守ることにもつながります。
2. 愛犬が噛む「本当の理由」
まずは、なぜ噛んでしまうのかを理解することが大切です。
理由によって、対策も変わってきます。
2-1. 遊び・コミュニケーションとしての甘噛み
多くの子犬に見られるのが、「遊びの延長としての甘噛み」です。
- 兄弟犬同士でじゃれて遊ぶときに、お互いの体を噛み合う
- その感覚で、人間の手や服も「おもちゃ」にしてしまう
犬にとっては「遊んでいるだけ」ですが、
人間にとっては痛い+危険なクセになります。
2-2. 歯の生え変わりによるムズムズ感
生後4〜7か月ごろは、乳歯から永久歯への生え変わり時期。
この時期は歯ぐきがムズムズして、
- 何かを噛んでスッキリしたくなる
- 家具の脚やケーブル、手足などがターゲットになりやすい
「噛むな!」と叱るだけではなく、噛んでいいものを用意することが大事です。
2-3. 不安・恐怖からの「防衛行動」
次のような場面で噛む場合は、怖さや不安から自分を守ろうとしている可能性があります。
- 体を触ろうとしたら、唸る・噛もうとする
- ブラッシングや爪切り、歯みがきの時だけ噛む
- 知らない人・犬が近づいたときに噛もうとする
この場合、無理やり抑えこんだり叱ったりすると逆効果になりやすいので注意が必要です。
2-4. 要求・イライラを伝えるための噛み
こんなパターンはありませんか?
- 遊びをやめると、手を噛んでくる
- スマホやテレビに集中していると、袖を引っ張って噛む
これは、「もっとかまって!」「退屈だよ!」という要求の可能性があります。
噛むことで飼い主がリアクションしてくれると学習すると、クセになりやすくなります。
2-5. これまでの経験から「噛めばうまくいく」と学んでしまった
過去に、
- 噛んだら、嫌なこと(爪切りなど)が中断された
- 噛んだときだけ、構ってもらえた/おもちゃをもらえた
という成功体験が積み重なると、犬は
「噛めば望みが叶う」と学習してしまいます。
3. 噛み癖・甘噛みを直す「基本方針」
理由はいろいろありますが、家庭での対策の軸は次の3つです。
- 噛んでも得をしない(遊び・注目がもらえない)ようにする
- 噛まない行動を全力で褒める
- 噛んでOKなもの(おもちゃ・ガムなど)を用意する
逆にやってはいけないのは、
- 叩く・蹴るなどの体罰
- 大声でどなり続ける
- 口をぎゅっとつかむ・床に押し付ける(いわゆる「マズルをつかむ」「アルファロール」など)
こうした方法はケガや恐怖心の原因になり、
最終的に噛みつきが悪化することもあります。
4. 今日からできる!シチュエーション別・やめさせ方
4-1. 遊んでいる最中に手を甘噛みしてくる場合
もっとも多いパターンです。ポイントは「噛んだら遊びはストップ」を徹底すること。
- 犬が手に歯を当てた瞬間、無言で遊びを中断する
- 立ち上がって犬から少し離れ、目を合わせずに数十秒〜1分程度無視
- 落ち着いたら、再びおもちゃで遊びを再開する
- また噛んだら、同じように遊びを終了
これを繰り返すことで、犬は
「手を噛むと遊びが終わる」と学びます。
4-2. 手ではなく「おもちゃを噛ませる」
遊びのターゲットを「手」から「おもちゃ」に置き換えます。
- ロープトイやボールなど、噛んでOKなおもちゃを用意
- 手ではなく、常におもちゃを介して遊ぶようにする
- おもちゃを噛んでいるときに、たくさん褒める
「手=おもちゃではない」「噛んでいいのはこっち」と、
ルールをはっきり分けてあげるイメージです。
4-3. 歯の生え変わり期のムズムズ対策
この時期は、とにかく噛んでいいものを充実させることが大事です。
- 犬用ガム・デンタルトイ・コングなどを数種類用意
- 家具やケーブルを噛もうとしたら、静かにおもちゃへ誘導
- おもちゃに興味を持ったら、たくさん褒める
「ダメ!」と叱るよりも、
噛んでOKな対象を増やす方が犬もストレスが少なく、結果として早く落ち着きます。
4-4. 要求で噛んでくるときの対処
スマホ中やテレビ視聴中などに噛んでくる場合、 「噛めばかまってもらえる」と思わせないことが重要です。
- 噛まれた瞬間、リアクションしない(大声を出さない)
- そっとその場を離れ、しばらく無視する
- 落ち着いて静かにしているときに、こちらから声をかけて遊ぶ
「噛む=退屈になる」「静かに待つ=かまってもらえる」と、
結果の違いをはっきりさせるのがポイントです。
4-5. 恐怖・不安から噛んでくる場合
歯みがきやブラッシング、爪切りなどで噛んでくる場合は、
その作業に対するイメージを少しずつ良くしていく必要があります。
- いきなり最後までやろうとせず、1ステップずつ細かく分ける
- 「道具を見せるだけ → ごほうび」「体に軽く触る → ごほうび」など、
少しずつ慣らしていく - どうしても難しい場合は、トレーナーや動物病院に相談する
怖さから噛んでいる子に対して、
押さえつけたり叱ったりするのは逆効果になることが多いので注意しましょう。
5. 噛み癖改善をスムーズにするコツ
5-1. 家族全員でルールを統一する
誰か一人だけが「噛んだら遊びをやめる」を徹底していても、
他の家族が「つい手でじゃれさせてしまう」と、犬が混乱してしまいます。
- 手でのじゃれ遊びは禁止
- 噛んだら、全員が同じ対応をする(遊びを終了・無視)
家族会議でルールを決めて共有しておくだけでも、改善スピードが変わります。
5-2. 運動・遊び・頭を使う時間をしっかり確保
噛み癖の裏には、エネルギーが有り余っていることもよくあります。
- 適切な散歩時間・運動量の見直し
- 引っ張りっこやボール遊びなど、一緒に遊ぶ時間を増やす
- 知育トイやトリック練習など、頭を使う遊びを取り入れる
満たされている犬ほど、問題行動は減りやすくなります。
5-3. 「できたところ」に目を向ける
どうしても失敗したときに意識が向きがちですが、
噛まずに我慢できた瞬間を褒めることが何より大切です。
- 手を出しても噛まなかった
- おもちゃにターゲットを切り替えられた
こうした場面を見逃さず、
オーバーなくらい褒めてあげることで、良い行動が定着していきます。
6. 専門家に相談した方がいいケース
次のような場合は、家庭だけで対応しようとせず、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
- 本気で噛みつき、ケガをするレベルの噛みつきがある
- 唸り声・威嚇が強く、近づくこと自体が難しい
- 過去に人や犬を本気で噛んだことがある
- 噛みつきが急に始まった・最近急に悪化した
動物病院で体の異常がないか確認し、
必要に応じてプロのドッグトレーナーや行動診療科に相談すると安心です。
7. まとめ:噛み癖は「叱る」より「教えなおす」
噛み癖・甘噛みは、犬の性格が悪いわけではなく、
「どうしたらいいかまだ分かっていないだけ」のことがほとんどです。
最後に、ポイントをおさらいします。
- 理由を見極める(遊び・ムズムズ・不安・要求など)
- 噛んでも得をしない・噛まないと得をする仕組みを作る
- 噛んでOKなおもちゃ・ガムを用意する
- 家族全員でルールを統一する
- どうしても難しい場合は、専門家に相談する
今日からの小さな積み重ねで、
「噛むのが当たり前の毎日」から「安心して触れ合える毎日」へ変えていくことができます。
愛犬のペースに合わせて、一緒に一歩ずつ進んでいきましょう。


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