中日ドラゴンズの根尾昂(26)に、今オフ「戦力外通告」の可能性が浮上していると報じられている。8年前に大阪桐蔭のスター選手として鳴り物入りでプロ入りした根尾だが、今季もファームでの登板が続き、厳しい状況に置かれている。
「戦力外通告」という言葉自体は毎年オフに耳にするものの、正確な意味や自由契約・現役ドラフトとの違いを知らない人も多い。この記事では制度の基本と、根尾を巡る今季の状況を整理する。元記事はこちら。
根尾昂に浮上した「3文字の通告」とは
報道によれば、根尾は今オフ、トレードや現役ドラフトでの移籍ではなく、「戦力外通告」を受ける可能性が取り沙汰されている。「3文字の通告」とは、この「戦力外」という言葉を指す表現だ。
関係者の間では「1軍で通用するレベルに達していない」という厳しい見方も出ており、来季の構想から外れる懸念が現実味を帯びつつあるという。
戦力外通告とは何か
戦力外通告とは、球団が選手に対して「来季は支配下選手契約を結ばない」という意向を伝える制度だ。毎年オフに行われ、第1次通告はシーズン終了からクライマックスシリーズ開催前日まで、第2次通告はクライマックスシリーズ終了翌日から日本シリーズ終了翌日までの期間に行われる。
通告を受けた選手がただちに無所属になるわけではない。多くの場合、その後に「自由契約」の手続きを経て、他球団との交渉や合同トライアウトへの参加といった次のステップに進むことになる。
戦力外通告と自由契約はどう違うのか
戦力外通告はあくまで球団から選手への「意向の通知」であり、自由契約は選手が実際にどの球団とも契約していない状態を指す法的な立場だ。戦力外通告を受けた選手は、正式な自由契約手続きの前段階から、他球団を含めた交渉が認められている。
育成契約への切り替えを打診されるケースもあり、必ずしも「即・退団」を意味するわけではない点は、意外と知られていない部分かもしれない。
戦力外通告と現役ドラフトの違い
現役ドラフトは2022年から導入された比較的新しい制度で、各球団が「もったいないので他球団で活躍してほしい」と考える選手を出し合い、抽選形式で移籍させる仕組みだ。出場機会に恵まれない選手に新天地を与える狙いがある。
一方、戦力外通告は球団側が「戦力として計算できない」と判断した選手に対する通知であり、性質が異なる。今回、根尾について「現役ドラフトでもなく」戦力外の可能性が指摘されている点は、現役ドラフトの対象にすら選ばれない厳しい評価とも読み取れる。
根尾昂の今季の成績
投手転向後の根尾は、今季も苦しいシーズンを送っている。4月8日のDeNA戦では延長10回に登板し三者凡退でプロ初勝利をマークしたが、その後は4試合連続失点を喫し、5月4日に登録抹消された。
以降はファームでの調整が続き、19試合登板で防御率8.82という厳しい数字が残る。8月11日のDeNA戦では1死も取れず7失点で降板するなど、直近の内容も上向いていない。
大阪桐蔭のスターから投手転向まで
根尾は大阪桐蔭時代、投打の「二刀流」として3度の全国制覇に貢献し、世代屈指の選手として注目された。2018年ドラフトでは中日、日本ハム、巨人、ヤクルトの4球団が競合する抽選となり、中日が交渉権を獲得した。
プロ入り後は野手として遊撃や外野で起用されたが結果を残せず、2022年に投手へ転向するという異例の経歴をたどっている。ポジションが目まぐるしく変わる中でのキャリア形成は、他の選手にはあまり例のない道のりだった。
「根尾フィーバー」と呼ばれた入団当時
2018年のドラフト会議で根尾に交渉権を得た中日は、球団史に残る歓喜に沸いた。抜群の身体能力とルックスの良さも相まって、当時は「根尾フィーバー」とも呼ばれるほどの注目度で、開幕前から多くのメディアが動向を追いかけていた。
甲子園では投打の二刀流として全国的な知名度を獲得し、将来のドラフト1位候補として早くから名前が挙がっていた選手だった。それだけに、現在の苦境とのギャップの大きさが、今回の報道への注目度をさらに高めている面がある。
戦力外通告を受けた選手たちのその後
戦力外通告を受けた選手の多くは、その後NPB12球団合同トライアウトに参加し、新たな契約先を探す。トライアウトで結果を残して他球団と契約する選手もいれば、独立リーグへの移籍や、現役引退を選ぶ選手も少なくない。
プロ入り時に大きな期待を背負った選手ほど、戦力外という現実との向き合い方が注目されがちだ。根尾のケースも、今後どのような決断がなされるか、ファンの関心を集めている。
中日ドラゴンズの編成事情
中日は近年、若手投手の底上げを課題としてきた球団の一つだ。根尾のように野手から投手へ転向した選手を我慢強く起用してきた背景には、球団側の期待の大きさもうかがえる。
ただし、プロ8年目で26歳という年齢は、若手と呼べる範囲からは外れつつある。今季の結果次第で、球団がどのような編成判断を下すのか、オフの動向が注目される。
異例だった投手転向の背景
根尾は入団当初、投打の二刀流ではなく野手一本での勝負を球団から求められた。遊撃や外野でのレギュラー定着を目指したが、思うような結果を残せない時期が続いた。
2022年、根尾は投手への転向を決断する。高校時代からアマチュア屈指の投手としても評価されていたとはいえ、プロで数年間野手として過ごした選手が投手に転向する例は、NPBでも決して多くない異例の選択だった。
球団側の育成方針が二転三転したとの見方もある一方、根尾自身が新たな道を模索し続けてきた点は、多くの野球ファンの記憶に残っている。
合同トライアウトとはどんな場か
NPB12球団合同トライアウトは、例年11月下旬に開催される。戦力外通告を受けた選手が一堂に会し、各球団のスカウトの前で投球や打撃、守備などをアピールする場だ。
ここで契約に至る選手は一部にとどまるのが実情で、多くの選手にとっては非常に狭き門となる。それでも「もう一度支配下選手として戦いたい」という思いを胸に、毎年多くの選手がこの舞台に立っている。
中日投手陣の現状
中日は近年、先発・救援を問わず若手投手の底上げを課題としてきた球団だ。育成出身の投手が台頭する一方で、即戦力として計算できる投手層の厚みには、まだ課題が残るとの指摘もある。
根尾のように野手から投手に転向した選手が一軍で結果を出せるかどうかは、球団の育成方針そのものの評価にも直結する。今オフの編成判断は、根尾個人の去就だけでなく、球団の投手育成戦略を占う材料にもなりそうだ。
根尾昂の今後を巡る焦点
甲子園のスター選手として入団した根尾にとって、今オフは大きな分岐点になりそうだ。戦力外通告という現実的な選択肢が浮上する中、シーズン終盤の登板内容がどこまで挽回材料になるかが焦点になる。
制度上、戦力外通告がただちにキャリアの終わりを意味するわけではない。それでも、かつての大スターが厳しい立場に置かれている現状は、プロ野球の実力主義の厳しさを改めて浮き彫りにしている。


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