日本の水道水は、水道法に基づき、厚生労働省が定める「水質基準に関する省令」により、厳格な水質基準が設けられています。
この基準は、健康に関する項目と、味や臭いなどの快適性に関する項目を含む51項目から構成されています。
さらに、水質管理目標設定項目として27項目が定められており、将来的なリスクに備えた監視が行われています。
2. 残留塩素の管理と安全性
水道水の消毒には塩素が使用されており、蛇口での残留塩素濃度は0.1mg/L以上と定められています。
一方で、味や臭いへの配慮から、1mg/L以下という目標値も設定されています。
東京都水道局では、0.1mg/L以上0.4mg/L以下を目標値とし、残留塩素の低減化に努めています。
3. PFAS(有機フッ素化合物)への対応
近年、PFAS(ペルフルオロアルキル化合物)と呼ばれる有害物質が水道水に含まれる可能性が指摘されています。
東京都水道局では、PFOSおよびPFOAについて、年4回の検査を実施し、暫定目標値の50ng/Lを大幅に下回る水質を維持しています。
万が一、目標値を超過する場合には、該当する水源の取水を停止するなどの対応が取られています。
4. 全国の水道水質調査とその結果
東京大学が実施した全国1564地点の水道水質一斉調査では、99%以上の地点で水質基準を満たしていることが確認されました。
また、日本の水道水は、カルシウムやマグネシウムなどの無機成分の濃度が他国と比較して低い傾向にあり、味や口当たりにも影響を与えています。
5. 水道水の安全性に対する不安とその対策、そしてミネラルウォーターとの比較
水道水は基本的に安全とされていますが、一般市民の間では一定の不安が存在しています。
その主な理由として、塩素臭が気になる、古い配管が残っている地域がある、報道で水質に関する問題が取り上げられた、などが挙げられます。
また、災害時に水道インフラが断たれた経験から「万が一のためにミネラルウォーターを常備している」という人も少なくありません。
こうした不安に対して、水道事業者は定期的な水質検査を実施し、厚生労働省の水質基準をすべて満たしていることを確認しています。
さらに、配管の老朽化対策として順次管の更新や洗浄作業を行い、二次汚染の防止にも努めています。
水質検査の結果は多くの自治体でインターネット上に公開されており、透明性の高い運営がなされています。
一方で、ミネラルウォーターとの違いについても整理しておきましょう。
ミネラルウォーターは地下水を原水とし、殺菌処理や濾過を経てボトリングされたものが多く、無菌状態であることが期待されます。
また、硬度(カルシウムやマグネシウムの量)によって味わいが異なり、軟水が主流の日本においては飲みやすさが評価されることが多いです。
しかし、ミネラルウォーターにも注意点はあります。
ペットボトルに詰められてから消費者の手元に届くまでの時間が長くなることもあり、保管状態によっては品質が変化する可能性もあります。
また、開封後は雑菌の繁殖リスクがあるため、なるべく早く飲みきることが推奨されています。
価格面でも、水道水は1リットルあたり約0.2~0.3円程度と非常に安価で、家計に優しいライフラインです。
一方、ミネラルウォーターは1リットルあたり50円~100円前後と、100倍以上のコスト差があるケースも珍しくありません。
総合的に見ると、日本の水道水は「日常的な飲用水」としての品質・安全性・コストパフォーマンスにおいて、世界的にも優秀であると言えます。
それでも不安を感じる場合には、浄水器の使用や、用途に応じたミネラルウォーターの併用が現実的な選択肢となるでしょう。
6. まとめ
日本の水道水は、厳格な水質基準と徹底した検査体制により、高い安全性が保たれています。
残留塩素やPFASなどの有害物質への対応も進められており、安心して利用できる水が供給されています。
今後も、水道事業者や行政機関による継続的な監視と改善が求められます。
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